首都圏には、ラッシュ時の混雑と痴漢で有名な路線がある。
その名は「JR埼京線」。
その名の通り、朝のラッシュはまさに"最強"で、朝の赤羽駅のプラットホームの階段を上がれば、たいていの人は卒倒しそうになるほど、混雑が激しい。どれだけ激しいかと言うことは後述することにして、、
「通勤ラッシュ」という今や日本の名物と言っても言いこの風景であるが、地方在住の人にはイマイチイメージが浮かばないかもしれない。私が今現在住んでいる福井県では、ラッシュ云々の前に、鉄道網自体が貧弱なので、通勤に鉄道を使おうとする人自体が少ない。
利用するのは大抵が学生か、病院へ通うためにローカル線を利用するお年寄りくらい。
あとの人たちは大体が自動車を使う。
旦那さんは自動車で職場へ、奥さんは自動車で買い物と子供の送り迎えに、実家のじいちゃんはトラクターで田んぼへ、、と言う具合だ。
そう言う中で暮らしていると、首都圏のラッシュというものがまさに地獄絵図のように思えるらしく、時折テレビなどで映る朝のラッシュの風景を見ると、「東京は怖いところだ」なんて言っていたりする。
私は元々東京出身で、30年も育ち、漂ってきたので、別にラッシュというのは特別でも何でもなく、普通のことだ。
大体、この日本でそんな地獄絵図のようなところは有るわけがない。
私はJR中央線(東京の)で毎朝通勤していたが、本数が半端でないくらい多いので、そんなにひどい混雑は通常時はない。まあ、新聞を読むのは難しいにしても、呼吸が出来なくなるほどではない。ちょっとの間我慢すれば何とかなるレベルだ。
だが、埼京線は違う。
先に挙げた赤羽駅のホーム。赤羽はJR京浜東北線、高崎線、宇都宮線というこれまた超混雑列車に乗った乗客達がが池袋、新宿方面に一斉に乗り換えるターミナル駅であり、3つの列車から吐き出される乗客が一つのプラットホームに殺到する恐怖の駅でもある。
具体的にはどんな状況かというと、まず、一つの車両には4つの両開きドアがあるが、その一つのドアに対して、8列の乗車待ちの列が並ぶ。
その8列のうち、4列は次の列車に乗る人たち。次の4列はその次の列車に乗る人たち。
1本列車が出て行くと、その次の列車に乗るために並んでいた4列の人たちが、隣の4列にスライドし、空いた4列のスペースにこれまた次の列車に乗る人が4列の列を作る。
断っておくがそこはディズニーランドのアトラクション乗り場ではない。
島式ホームの右にも左にもひっきりなしに電車が入ってくる、「プラットフォーム」だ。
当然スペースも限られていて、真夏ともなれば、そこに並んでいるだけで気分が悪くなり、そして数分後には我が身に訪れそうとしている圧迫地獄を目の前にして、「生活のためだ、仕方ない」と自分を納得させようとしている人たちの集まりである。
3本の埼玉方面からやってくる通勤電車から1本の通勤電車にごっそり乗客が流れてくるのだ。
混雑度はハンパではない。
普通、ラッシュ時には乗客が乗り切れなくて、駅員が乗客をドアに押し込んで、何とかドアを閉めさせ、発車させようする。
勿論赤羽駅でも同様の光景は毎日のように見られるが、反対に電車が到着しても、ドアが開かないことがある。
何故開かないのか。
答えは、車両内の圧力が激しすぎて、ドアを内側から圧迫してしまっているからなのだ。
そのために、埼京線の自動ドアはよく故障する。
ドア故障のために電車が遅れることもあるくらいだ。
そんな埼京線は、実はつい最近、と言ってももう20年近く経つが、出来たばかりの路線である。
もともと、池袋と赤羽の間には、「赤羽線」という短い路線が通っていた。
車両は総武緩行線に使われていた黄色い103系の正面に、「赤羽線」といういプレートを下げていただけの車両が走っていて、池袋を出ると、「板橋」、「十条」と停車して、終点赤羽に到着する短い路線だった。
ところが、東北新幹線が着工され、仙台、盛岡方面と東京を結ぶ路線がまさに開通しようとしている時期だった。
東北新幹線は、今でこそ東京発着になっているが、その前は上野発着、その前は大宮発着だった。
何故大宮という中途半端な駅に発着させなければならなかったのか。
それは、大宮~上野間の周辺住民、自治体の反発が常軌を逸していたからに他ならない。
今のJRならもっとうまくやれたのかもしれないが、悲しいかな、この当時は借金抱えた国鉄時代。新幹線が通れば騒音が激しくなり、しかも自分たちの住む最寄りの駅には停車しないと言うことを理由にして、強硬な反対をされたため、妥協案として出された案が、
・「大宮までは時速110キロまでの速度に抑えて走る」
・「大宮から赤羽間に新線を建設する」
というものだった。
だから、東北、上越その他JR東日本の新幹線は、大宮駅までは今でも110キロまでの速度しか出せておらず、新幹線らしい走りを見せてくれるのは大宮から先になる。
地元市民や沿線自治体(この場合、業界ではプロ市民という)はしてやったりということなのかもしれないが、そのおかげで、埼玉方面からの交通アクセスはまさに地獄と化している。
もともと、上尾事件など、度々混雑にまつわるトラブルの多い土地柄だったが、よくもまあこんな埼京線のような混雑ぶりで暴動が起きないものだと思う。国鉄のままだったら間違いなく第二、第三の上尾事件が発生していただろう。
それにしても、埼京線、異常に混雑する区間は限られているものの、ちょっとあれはいくら何でも異常じゃないか。
元々は埼玉の沿線自治体は住民の要望で作られたモノだ。
混雑緩和やバイパス整備など、もう少し埼玉独自の解決案を出してもいいんじゃないかと思うのは余計なお節介か。
少なくとも、赤羽の駅の埼京線ホームは、放っておくと乗客があふれて線路に人が落っこちてしまうと思うゾ。