田母神俊雄・前航空幕僚長が、懸賞論文に独自の持論を展開して問題なっている。
といか、大騒ぎの沙汰だ。
私は、航空自衛隊という組織がどのような位置づけで、どのような扱いを受けているにかについて明るくない。だからこれから述べる事実については現実と乖離しているかもしれないが、個人のブログということで一つの考え方と勘弁してもらって、思いを述べたいと思う。
「日本は侵略国家ではなかった。自虐的な歴史認識が自衛隊としての組織の、そして個々の自衛官の士気を低下させている。憲法の改正も視野に入れ、もっと自衛隊の存在を明確にする必要がある」というのが論旨と聞いた。
私は、この内容についての是非は、必ずしも同意できない部分がある。
「日本は侵略国家ではなかった。」
侵略しない戦争行為がそもそも存在するのだろうか。先の太平洋戦争が自らの生存権をかけるための、ナチスドイツにおけるユダヤ人のような立場に日本はいたのだろうか。
欧米諸国が日本の国益を決定的に損なう決定を下し、大本営がそれに対し自衛的に宣戦布告を行った、という事情もあったろうが、それまでに日本の領土として占領していた朝鮮半島や満州国に対して、非人間的な行動をとった事実は、上記の理由で説明できるものであるのか。
私は朝日の肩を持つわけではない。ただ、事実は曲げずに認識しておくべきものと思うから、敢えて書く。
論文に書かれた内容が正しいのかは俄に判断できない。
ただ、「政府見解と違う趣旨の発言を行った」ということで、「臭いものに蓋をする」というばかりに更迭人事を行い、政局の維持に躍起になるということは、戦前戦中に日本軍政府が国民に対して行った「国体護持、国家総動員」と寸分も違(たが)わないのではないか、と感じてしまう。
確かに彼は国家における防衛幹部であり、立派な国家公務員である。そして組織のトップに立つ重責な役職であった。
だが、このことは裏を返せば、「国家の役職に就く人間は、決して日の丸のおっしゃることに逆らえない、おとなしく"YES"だけ言っていればいいのだよ」ということになる。
これが民主主義だろうか。
かれも公務員とはいえ、一人の国民である。納税もしていれば、労働もしている。
その人間が、自分の発言する機会すら与えられないというのは、何かが違う気がしないだろうか。
「思慮深き発言を」
今夜のニュースでコメンテータが発言していた。
「思慮深き発言」とはなんだろう。「触らぬ神に祟りなし」ということか。
それとも、「退職金をすべて御上にお返しします」とでも言えばよいか。
どんな民間企業でも、会社の考え方に異論を唱えたり、楯を突く人間がいる。
上の人間にしてみれば、こういう存在は実に煙たく、目の上のたんこぶのようだ。
だが、そんな人間がいなければ、組織なぞあっと言う間に腐ってしまう。
イエスマンばかりを自分の周りに置いて、楯突く奴は遠ざける。
そんな会社にまともな会社なんてない。
組織をいうのはそういうものだ。
誤解のないようにもう一度言うが、私は彼の発言した内容が正しかったということを言いたいのではない。
ただ、「政府見解を違ったことを発言したら速攻クビ」というのは、企業なら「不当解雇」も甚だしい内容じゃないだろうか。
たとえ、それがいくら要職にある人間の発言だとしても。
それに、「思慮深い発言」というものがどういうことをいうのか、例のコメンテータに是非とも訊いてみたいものだ。
本当に「思慮深い」対応をするのはむしろ政府の方で、この場合は、本人にまず事の真相を聞いて、その内容が政務執行に著しく障害となるのであれば、双方納得の上処分をすればいい。なにも民主党に「解散」を迫られているからと言って、焦って中途半端な対応を取らなくてもいいのだ。
失言報道で躍起になって、相も変わらず民主党は首相の任命責任を追及し、「やれやれ」というところだろうが、政府は「臭いものに蓋」なんて大人げない対応を取らずに、もっと地に足がついた対応を取ってくれるようにお願いしたいものだ。



